【新総長スペシャルインタビュー】多様性を力に、次の時代を拓く大学へ 〜後援会とともに〜

法政大学総長 Diana Khor(ダイアナ・コー)
両親からの「信頼」が「自信」になった学生時代
私はこれまで香港・アメリカ・日本を拠点に、社会学、中でもジェンダー・セクシュアリティ研究に取り組んできました。アメリカの大学院を修了した後、外国人招聘研究員制度※1を利用し、法政大学で研究を始めたのが約30年前のこと。その後、当時本学で教鞭をとられていた女性学研究者の田嶋陽子先生に誘われて、英語ライティングの非常勤教員になり、数々の出会いに支えられて現在に至ります。
自身の学生時代を振り返ると、今も胸に刻まれている父の言葉が2つあります。一つは、「Prepare for the worst, hope for the best」。この「最善を望み、最悪に備えよ」というフレーズが、今日につながるあらゆる挑戦を後押ししてくれました。もう一つは、大学受験の前に、父が私の担任の先生に言った「私は彼女を信じています」という言葉です。両親が自分を信頼してくれているという確かな実感は、私の中に根本的な自信を育んでくれたように思います。
揺るぎない理念を礎に、より包摂的な大学を目指す
この度、総長に立候補した理由は、日頃から学生に挑戦を促している身として、自分自身も新たな一歩を踏み出そうと決意したからです。また、「閉塞感のある社会の中でも法政は変わっていく」という希望を学生たちに与えたいという思いもありました。
本学はこれまでも、建学の精神である「自由と進歩」および法政大学憲章「自由を生き抜く実践知」に基づき、さまざまな改革を行ってきました。2016年に「法政大学ダイバーシティ宣言」を発表、2024年にはダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンセンター(DEIセンター)※2を開設するなど、多様性の推進にも積極的に取り組んでいます。今後目指すのは、こうしたダイバーシティやグローバル化をさらに加速させ、より包摂的※3な大学へと進化すること。多様な背景やルーツを持つ学生が安心して学べる環境の整備が、次の150周年、200周年に向けた我々の使命だと考えています。
後援会の皆様の思いに応えられるよう、 進化を続けていきたい
法政大学後援会の皆様は、常に法政コミュニティの一員として本学を支え、共に歩んでくださる心強い存在です。会員の皆様におかれましては、ご自身のお子様だけでなく、多くの学生を支援していただき心より感謝いたします。また、多忙な中、ボランティアで尽力してくださっている後援会役員の方々にも改めて御礼申し上げます。
大学の活動や、学生の生活・学びに対するご支援は、多方面でありがたく活用させていただいています。特に、コロナ禍・自然災害発生時における対応や、時代に即した取り組みを行う上で、後援会のサポートは大きな力となっています。その一つとして、近年では2024年度に、本学の学生がメンターとして参加する中高生対象の宿泊型サマーキャンプ「HOSEI GLOBAL CHALLENGERS CAMP」※4がスタート。2025年度からは、フィリピンの大学と提携し、国際共修をテーマとした短期プログラムを開始する予定です。
私自身もグローバル教養学部長を務めていた頃から、父母懇談会などで保護者の方々と直接お話しする機会を大事にしてきました。こうした対話を通して皆様の思いを伺うことは、私たちにとっても日々の教育活動のモチベーションになり、より良い大学づくりにもつながると考えています。
これからも皆様のご期待に応えられるよう、法政大学の良き伝統を土台に、さらなるグローバル化、多様化、そして持続可能な社会への貢献を通じて、国内外における存在感を高めていきたいと思います。今後とも変わらぬご支援とご指導を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
- 外国人招聘研究員制度(HIF 招聘研究員制度):法政大学国際交流基金(HIF)に基づき、外国籍を有する若手研究者に研究機会を提供する制度。
- ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンセンター(DEIセンター):法政大学におけるダイバーシティ推進の中核を担う機関として2024年4月に開設。
- 包摂的(Inclusion):さまざまな背景や価値観を持つ人々を受け入れ、共に生活や活動をすることができる状態。様々な国籍や文化的背景を持つ生徒たちが一緒に学び、互いに理解し合える環境のこと
- HOSEI GLOBAL CHALLENGERS CAMP:全国の中高生を対象とした宿泊型サマーキャンプ。2024年度は「多様性の中で、ソーシャルアントレプレナーシップ(社会起業)を学ぶ5日間」をテーマに開催した。法政大学の学生がメンターとして参加者をサポート。また、同年度の「自由を生き抜く実践知大賞」進取の気象育成賞を受賞した。